企業紹介

Vol.6
他社との差別化で「選ばれる企業」に

一貫生産で価値を創造

-アイデンが製造している「制御盤」について教えてください。

一般の人にはあまりなじみがないかもしれませんが、制御盤は産業機械を制御する「脳」の役割を果たす部分です。当社では、工作機械、食品、自動車、液晶、半導体、リチウムイオン電池など、さまざまな分野のメーカーに納入実績があります。

-県内にも多数、制御盤メーカーがあると思いますが、その中でアイデンの強みはどういう点にあるのでしょうか。

一般的に制御盤メーカーというと、組立工程だけを行い、板金や塗装などの工程は外注に出している企業がほとんどです。当社では創業から間もない1977年に板金部門を、2007年に塗装部門を設け、設計から板金、塗装、組立まで社内で一貫して手がけています。組み込みのソフトウェアも自社で開発しています。これにより、高品質な製品を短納期で提供できることはもちろん、急な設計変更にも対応できます。

「アイ」に込める思い

-アイデンは池内社長のお父様である現会長が、1972年に創業されました。

父親はある機械メーカーに勤めていたのですが、そこが倒産したことをきっかけに自分で会社を興しました。当時は「池内電機製作所」という看板を掲げ、父親を含めて2~3人の職人が働いていました。

-「i-DEN:アイデン」と社名を改称したのはいつなのですか。

2007年に現在のかたつ工業団地に社屋を移転した際、若い人に魅力を感じてもらえるような社名にしようと社員公募を行い、70案以上の案の中から決めました。「池内電機製作所」のままでは、いかにも町工場ですからね(笑)。i-DENの「i」は、お客さまを愛する、社員を愛する、製品を愛するの「愛」であり、石川県、そして池内電機のイニシャルでもあります。

-小さな町工場から現在の規模へと成長を遂げた秘訣は何でしょうか。

ひとつは新しい技術を積極的に取り入れ、徹底して他社との差別化に取り組んできたということです。3D-CADやCAD/CAMも他社に先駆けて導入しました。競争が激しい業界で勝ち残っていくためには、他社にない技術やサービスを提供し、お客さまに選んでもらえる企業になることです。

-WELDLESS(ウェルドレス)工法もそのひとつでしょうか。

そうです。WELDLESS工法は接着剤とリベットを用いた板金組立工法で、溶接をしないことから歪みが生じず、高品質な製品を低価格かつ短納期で提供できます。もちろん強度はスポット溶接と遜色ありません。業界でも手がけているのは当社だけです。

創業40年でバトンタッチ

-アイデンは2010年10月で40期目を迎え、同時に池内社長が新社長に就任されました。今後の抱負についてお聞かせください。

社員全員で共有したいという思いから、経営理念を「お客さまの満足と信頼に応え、全員で幸せを実現する」とシンプルな一文に改めたことが、私の最初の仕事でした。
これからやりたいことはたくさんありますが、まず人材育成に力を入れてマンパワーの底上げを図りたいですね。これまで技術の継承についてはOJTでやってきましたが、時間を取って体系的に社員教育を実施することで、社内に蓄積されている技術やノウハウを全員に行き渡るようにしたいと思っています。

-機械化できない工程が多い分、手仕事の技が重要なのですね。

アイデンのものづくりを支えているのは「人」です。全社員に高い意識を持って技術を身につけてほしいという思い、また同じものづくりに携わる社員を区別することなく大切にしたいという思いから、当社は全スタッフが正規社員です。昨今の不況でもリストラは一切行っていません。当社は創業時に比べ規模こそ大きくなりましたが、いいときも悪いときもみんなで手を取り合っていこうというアットホームな社風は変わっていないんです。

-新事業にも取り組んでいると聞いています。

これまで主にハードを手がけてきたアイデンですが、現在は「環境」をキーワードにした自社ブランドのパッケージソフトの開発も手がけており、すでに、改正省エネ法に対応した「i・sesami(アイ・セサミ)」という工場設備の電力監視システムを発売しています。
また現在、金沢美術工芸大学と共同で、小学校を対象にした太陽光発電のモニタリングシステムを開発しています。子どもたちが理解しやすいインターフェイスを美大がデザインし、当社がシステム設計を担います。こちらは2011年4月に市場に出す予定です。

-今後が楽しみです。

従来の受注生産型のビジネスから一歩踏み出し、ブランド企業を目指したいですね。

文:河原あずみ、写真:谷川 仁弘、動画:松尾 雅由

取材日:2010年10月28日

編集後記

この10月に先代からバトンを受け社長になられた池内さん、話し方がとても丁寧でそれでいて優しい。「アイデンの売りは自動化制御基盤を、筐体の設計から板金・塗装・組み立てまで社内で一貫生産できることなんです。」と力強く話されてました。しかしそれ以上に印象に残った話が「技術の基本はそれを作る人、だからパートや契約社員として働いていた人にも社員になっていただいた。またこの不況の中、一人の従業員も辞めてもらうことなく働いてもらってます。」ものづくりの基本は人、人に対する思いがあって技術が生きてくる。大切な思いも引き継いだんですね。(谷川 仁弘)

会社概要

企業名 株式会社アイデン
会社所在地
石川県金沢市かたつ3番地
設立 1972年
従業員 81名(2010年10月現在)
事業内容 自動化制御盤の設計製作・ハーネス製作・筐体の設計製作、パッケージソフトの開発
URL http://www.ai-den.jp/

社長プロフィール

氏名 池内保朗(いけうち・やすろう)
生年 1973年
経歴 金沢生まれ。大学卒業後、京都の電機関係の商社に就職。1999年にアイデンに入社し、10年10月より現職。趣味は歴史物の読書と旅行。

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