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2022.11.25

元USJトップアクターが教える!一瞬で人に好かれる必殺営業術!

担当ディレクター:小幡 美奈子

毎回、さまざまなジャンルで活躍する方々をゲストスピーカーに迎え、彼らの活動事例などから新たなビジネスにつながるアイデアの糸口を探るディレクターズトークセッション。

どんな仕事をするにも必要不可欠なコミュニケーションスキル。あなたのことを好意的に思ってもらえたら仕事が上手くいきやすいと感じたことはありませんか?有名テーマパークのエンターテイナー達は、 初めて会った人にも好きになってもらいやすい立ち振る舞いや発声方法などを熟知しています。

今回は、そんな門外不出の「好かれ術」を、元USJトップアクターから惜しみなく教えていただきます。 あなたも明日から愛され人材になれるかもしれません。

【ゲストスピーカー】
南平兵衛氏(合同会社ナンタメ代表)

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大阪にあるユニバーサルスタジオジャパン(以下、USJ)にて1000以上のワンマンショー経験をもつ南平さん。かつてはシアター型アトラクションでのワンマンショーやパレードショーのメインMCのレギュラー出演を務めており、実力派のエンターテイナーだ。

現在は、USJで培ったエンターテイナーメント力やコミュニケーション力と爽やかスマイルを武器に、結婚式場で専属マジシャンとして活動している傍ら、合同会社ナンタメの代表としてパフォーマーの紹介業も行い、二足の草鞋を履いて活躍している。

そんな南平さんに今回教えてもらったのは、仕事をする際に必要なコミュニケーションスキル。コミュニケーション力がつくと、仕事がより円滑になり、売上が伸び、自分のやりたい仕事ができるようになってくるなど、いいこと尽くしだ。今回は、USJ式コミュニケーション術を噛み砕きながら楽しく伝授してもらった。

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メラビアンの法則をうまく活用する

「メラビアンの法則」という言葉を聞いたことがある人は、きっと多いのではないだろうか。人と人とのコミュニケーションにおいて「言語」から受け取る情報は、たった7%。話している内容というのは、実はそれほど重要ではないのだ。

コミュニケーションが決まるのは、視覚情報と聴覚情報の影響が大きい。見た目や仕草、表情や視線など視覚情報が55%と1番に影響し、次に影響を与えるのが、声質や声量、口調やテンポといった聴覚情報(38%)である。つまり、「何を言うかではなく、どのように言うか」がとても大切なのだ。

①見た目
視覚情報(見た目)でまず大事なことが「表情」だ。USJのエンターテイナーは、明るく元気に振る舞っており、いつも表情が豊かである。

しかし、新型コロナウィルスの影響でマスク着用が定着した昨今では、マスクをしていると顔半分が見えなくなり、以前より表情を読み取ることが難しくなってしまった。そんな時に使えるのが、眉毛をグッとあげる方法だ。グッと眉毛をあげることで、「興味関心がありますよ」「あなたの話を聞いてますよ」という意思表示に繋がり、表情を伝えやすくなるのだ。顔の表情筋を鍛えることがキーポイントでもあり、意識してみるだけで、表情が豊かになるという。

次に大切なのが「動き」だ。トーク中、常に動きをつけている南平さん。エンターテイナーらしいコミカルで大きな動きは、やはり人を惹きつける力があると思った方がほとんどだろう。
「身体を動かすことが好きなので、表現する時にはボディランゲージをどんどん使っています。動きが大きい人の方が好意的になれるんじゃないかと思いますね」

また、TPOに沿った身だしなみを整えることも必要不可欠だ。服装を間違えてしまうと、それだけでマイナスな印象を与えてしまうのはいうまでもないだろう。

さらに「ネームコーリング効果」という心理現象を使うことも効果的だ。「人は名前を呼んでもらうとうれしい」という心理を活かした方法で、人は名前を呼ばれると、脳内の快楽的部分が刺激され、自分を承認してくれたように感じるという。

だからこそ、自己紹介をした際に名前を聞きいた後は、名前を何度も呼ぶことをおすすめする。「〇〇さんは〜をされているんですね」「〇〇さんは〜なんですね」など、反復的に名前を呼ぶことで、好意をもたれやすくなり、コミュニケーションが円滑になっていく。名前を忘れやすい人は、覚えるためにも相手の名前を何度も呼ぶのがおすすめだ。意識的に行い、習慣化することが人間関係の構築にかなり役立つと南平さんはいう。

②動き
コミュニケーションにおいて、「動き」というのもかなり重要である。

まずは挨拶する時に意図的に手を振ってみることがおすすめだ。「おはようございます」と挨拶する時も、手を振りながらとそうでない時とでは、受け取る印象はかなり違う。もちろんTPOをわきまえることは大事だが、手を振るアクションを取り入れるだけでウェルカムな印象を受け、好意的に受け取られるようになるという。まずは、気心知れた仲で、ちょっとおおげさにやってみるのもおすすめだ。

「USJの裏側では、こういった動きをつけたコミュニケーションが頻発していました。そうした方がやっぱりおもしろいじゃないですか。ただ単に挨拶しているだけなんですけど、もうすでにおもしろい。それがコミュニケーションの円滑化に繋がるのではないかと思っています」

さらに、動きをつけて話すことで、説明しようという意志が伝わり、「相手に伝えようとしている」姿勢として受け取ってもらいやすくなる。

「物事を伝える時は、話し手がどれだけ言語を整えたとしても、受け手が聞こうという姿勢にならないと、情報をキャッチしてもらえず、伝わらないんです。伝えるためには、伝えようとしている姿勢を示すことが大事。そのために、動くというアクションをいれ、惹きつけることがキーとなります」

また、感情を動きで表現することもおすすめだという。喜怒哀楽をつける時に、表情だけでなく身体でも表現することで、感情が伝わりやすくなるのだ。

「これこそが、人生を楽しく生きるコツでもあると思っています。嬉しさを誰かと共有したいと思っていた時、その人と一緒に身体を大きく使って喜びを表現すると嬉しさが倍増するので、ぜひやってもらいたいですね」

パントマイムから学ぶコミュニケーション術

言語情報からの伝わることがたったの7%で、コミュニケーションにおいて大切なことは、「動き」であることがわかったいま。パントマイムというパフォーマンスから学ぶことはかなり多い。パントマイムは、言葉を使わずともストーリーが伝わる。つまり、パントマイムからは、表現そのものを学べるのだ。

パントマイムといえばまず思い浮かぶのが「壁」。目の前には何もないのに、まるで壁があるかのような仕草を体で表現するパフォーマンスだ。今回は、「壁」のやり方を伝授してもらい、参加者全員でチャレンジしてみた。

パントマイムのコツは大きく分けて2つ。

①片手を離す際に、「ふわっ」と手の力を抜いていく。これを繰り返していくことで、壁をうまく表現できるようになる

②手を固定させて体を移動させる。その際に手首を意識することが大事。

パントマイムのコツを伝授してもらったあとで、紹介してもらったのが、マルセル・マルソーという、パントマイムのパイオニア的人物だ。マイケル・ジャクソンのムーンウォークは、マルセル・マルソーから影響を受けたと言われている。

「実は、そのマルセル・マルソーへ直接学びに行った人が関西にいまして。その人と京都の舞台で一緒に立っていたことがあるんです。その時、マルセル・マルソー式の身体で表す感情表現を教えてもらったのでシェアしたいと思います。」

怒り    手をグーにして、片手をあげ、もう片手は下げ、こわばった表情をする
喜び    両手を上に開いてあげ、目線をあげ、口を開く
驚き    体をのけぞり、両手を体の横に開く
悲しい   力を抜いて猫背になって目線を斜め下にもっていき、無表情
恥ずかしい 両手の親指と人差し指で丸を作り、腰あたりでひねる
悔しい   横を向いて片手をグーにしてあげる
絶望    グーにした両手をおでこにくっつけ、しゃがむ

舞台上でお客様にわかりやすく提示するためにマルセル・マルソーが作ったメゾットを教えてもらった一同。身体による表現を忘れてしまいがちな現代だからこそ、いま改めてわかりやすい表現を身体で示すことの大切さに気付かされた方も多いだろう。

言葉の伝え方 5種類

最後に、プレゼンする時に使える言葉の伝え方のメソッドを伝授してもらった。

「伝える時には、『声の大小』『声の速さ遅さ』『声の高さ、低さ』『間(ま)』『言葉の色』の5つを意識することが大切です。これらを意識するだけで、受け手の印象がかなり変わってくると思います」

「声の大小」や「声の速さ遅さ」、「声の高さ、低さ」は、メリハリをつけながら使い分けていくことで、格段にプレゼンが上達する。特に大事なことが「間の取り方」だ。間を持たせることで、そこに意味をもたすことができるため、大事な言葉を言う前に間をもって話すと良いという。

「間って一見何もないんですけど、受け手には間が余白になり、想像してもらえるようになるんです。相手に提示し続けない面白みができたりするんですよね」

また、言葉のもつイメージである「言葉の色」にも気をつけることが大切だと話す南平さん。

「例えばUSJで人気のキャラクターであるエルモ。エルモという言葉自体は丸いイメージですよね。一方でキャラクターとしてはふんわりとしたイメージのあるキティちゃんは、言葉だけで捉えると、とがっているイメージ。だから、パレードでキティちゃんという言葉を発する時は、両手を使って円を描きながら、本来のキティちゃんのイメージである柔らかさを表現していました。言葉のイメージと裏腹な印象をもつ対象物を表現する時は、身体も一緒に使いながら、イメージして言葉を発するテクニックが有効なんです」

トーク中は、エンターテイナーらしいサービス精神たっぷりで会場を盛り上げてくれた南平さん。この1時間半で南平さんのファンになった方も多いだろう。人を一瞬でひきつけ、その場をパッと明るくしてくれる南平さんから学ぶコミュニケーション術は、今日から使えるおのばかりだ。

現在はマジシャンとしても活躍中の南平さん。忘年会や新年会など、盛り上げたい方はぜひ連絡してみてはいかがだろうか。

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話し手
南平兵衛氏
(合同会社ナンタメ代表)

聞き手
小幡 美奈子
(ITビジネスプラザ武蔵交流・創造推進事業運営委員会ディレクター・ウェブマルシェ代表)

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